【IT関係者のためのTOEIC講座3】

IT関係者のためのTOEIC講座

今回は、特にIT関係者向けに、TOEICの推測問題の解き方と、知っておいた方がよい予備知識をお伝えします。

IT関係者は TOEIC の推測問題が苦手な可能性がある

ご存知の通り、TOEICには推測問題が出ます。
問題文を読んで、正解を推測する問題です。

IT関係者には、この種の推測問題が得意でないかたも多いと思います。
論理的には正解とは限らない選択肢を、正解として選ぶ問題であるためです。

IT業界では、職種にもよりますが、推測をもとに業務を進めると後で問題が起きたり、手戻りが発生する可能性が高まります。

ITのシステムは1か所間違っているだけで動かないことがあるので、特に技術職の場合は、問題が起こるリスクを減らすために、1つ1つ明確に確認しながら進めた方がよいです。

新入社員の頃、きちんと確認していなかったことを先輩から怒られた、という経験をお持ちの方も多いと思います。

そのため、多くの人は、推測でなく明確に確認して仕事を進める癖がついています。

論理的な思考は推測問題に向いていないことがある

普段の仕事ではそれでよいのですが、この癖が TOEIC にマイナスに作用することがあります。
それは、推測問題を解くときに起こります。

TOEICの推測問題を解く際には、根拠が明示されていない選択肢を、回答であると推測する必要があります。
しかし、論理的に正解とは限らないものを正解として選ぼうとすると、心理的な抵抗が発生し、気になります。
そして試験時間中に無駄に意識の力を使ってしまいます。

無駄な意識を使うと、ほかの問題を解く時間が足りなくなってしまいます。

推測問題の傾向と解き方

そこで今回は、推測問題の傾向と解き方を説明します。
あらかじめ、傾向と解き方を知っておくと、実際の受験時に戸惑わないで済み、スムーズに問題を解いていけます。

推測問題の傾向

推測問題では、推測であることを示す言葉が使われることが多いです。
例えば suggest(示唆する、暗示する)、indicate (示す、暗示する)、most likely (最も可能性が高い)です。

TOEIC新公式問題集1 の2回目の問題から、例を2つ紹介します

【例1】

(問題No.171)

What will Ms.Wilson most likely tell Mr. Tran? (Wilson は Tran さんに何を伝えると考えられますか?)

この問いの前提となる問題文は「顧客が納期を1週間短縮してほしいと希望している。短縮できるかどうか確認する」という内容です。

論理的には短縮できるとは書かれていませんが、この問いでは、短縮できると推測して回答を選ぶ必要があります。

ただし論理的には短縮できるとは限らないので、most likely (最も可能性が高い)という表現が使われています。

【例2】

(問題No.196)

What does the notice suggest about the exhibition? (そのお知らせは展示会について何を示して(暗示して)いますか)

この問題は、ロンドンの街の歴史における、あまり知られていない点を紹介している美術館での展示について、「ユニークな観点から描かれている」という選択肢を正解として選ぶ、というものです。

知られていない点に焦点を当てているので、観点がユニークである可能性は高いですが、そうとは限らないともいえます。

例えば「あまり知られていない瞬間を伝えることは、多くの人が思いつくことであり、ユニークな観点ではない。しかし面白くないテーマでの展示は、お客さんがあまり入らす採算がとれないので、美術館では開催しない」という可能性も考えられます。

つまり100%ユニークであるとは断言できない状況で「ユニークな観点で描かれている」を正解として選ぶ必要があります。

これが推測問題であることを見分けるポイントは、suggest です。

suggest には「示す」「提案する」などの意味とともに、「暗示する」という意味があります。

【suggest の意味】

    1. propose
    2. indicate
    3. recommend
    4. imply

4番目の imply が「暗示する」、つまり直接は示していないけれど間接的に示す、という意味です。
また2番目の indicate にも「暗示する」という意味があります。

推測問題の解き方

例1, 例2のように、 推測問題には、suggest, most likely など、推測に関する言葉が使われていることが多いです。

確実に正解するためには、間違いの選択肢を消去法で消していき、残った選択肢が正解の可能性が高そうなら、その選択肢を正解として選びます。

回答時間を短縮したい場合は、suggest, indicate, most likely などの言葉から推測問題である可能性を察知して、正解の可能性が高そうな選択肢を見つけたらそれを正解として選びます(それ以降の選択肢には目を通さないことで、時間を短縮します)

なお suggestや indicate には「暗示する」という意味があり、これらが出てくると推測問題の可能性がありますが、他の意味もありますので、これらの単語が出てきたからといって、必ず推測問題とは限らないことを補足します。

まとめ

ITの仕事をしていると、論理的に正しい、つまり100%でなければ、「いや、そうとは限らないよな」という気持ちが出てきます。
そして無駄に意識を使ってしまい、他の問題の正答率を下げてしまいます。

しかし推測問題であることを見ぬくことができれば、「100% そうとは限らないけれど、推測問題だから構わない」と思えるので、無駄に意識を使わずに済みます。

したがって、問いの文に推測を示す言葉が含まれているかどうか、という観点で問いの文を確認することをお勧めします。
そして推測問題の場合は、推測問題と割りきって正解を選び、次の問題に進むようにすると、効率よく問題を解いていくことができます。