今回は The psychology of selling を紹介します。
■ The psychology of selling とは
The psychology of selling は Brian Tracy の著書です。
Brian Tracy は米国のセールスの専門家です。
元セールスマンで、その後、セールスのコンサルティングや講演活動を行うとともに、多数の本を執筆しています。
The psychology of selling は、セールスのコツを体系的に説明した本です。
この本では著者のBrian Tracy が駆け出しのセールスマンだったころから身に着けてきた営業スキルを、幅広く紹介しています。
また著者だけでなく、著者のセミナーに来た参加者の事例も紹介してます。
営業スキルを基本的な内容から説明していて、また実体験に基づいた説明なので、説明に説得力があります。
セールススキルの本ですが、営業職だけでなくビジネス開発職の人に役立つ内容も書かれています。
サービス開発や、お客さんと接する機会の多いSEにも役立つと思います。
◆日本語版について
日本語訳も出版されているようです。
ただし絶版になっているようで、本日時点でAmazon.co.jp で新品が売られておらず、中古品が11,500円以上の値段で売られていました。
一方、英語のkindle版は 約500円(4.47 米国ドル)で売られています。
日本語版は英語版(原書)の約23倍の値段ということになります。
洋書を読むことができると、こういう点でもお得ですね。
また値段だけでなく、一般に原書のほうが読みやすく、著者の意図が伝わってきやすいです。
個人的には、1万円は高いのでなるべく英語版を読んだ方がよいと思います。
日本語版を購入して役に立たなかったとしても、私は責任をとりません(笑)
日本語版を購入される場合も、自己責任でお願いします。
■ The psychology of selling を読んだ感想
この本を読み終わった時の感想は、読むのに時間がかかった、というものです。
時間がかかった理由は、書かれている内容の種類が多く、1 つ 1 つ理解しながら読んでいったためです。
ストーリー性が高い内容であれば、一気に読むことができますが、この本の大部分は、1つのトピックを 1、2ページくらいで説明していて、それが続いています。したがって、一気に読み進めるような内容や構成にはなっていません。
1つずつ理解しながら読んだため、時間がかかりましたが、その分、得た知識は多く、読み応えのある本でした。
なお個人的には、はじめから 70% くらいは、知っていることの確認に役立った程度でした。
一方、後半の 30% は、楽しんで読むことができました。
例えば顧客を次の 6 つのタイプに分類している点などは、参考になり、説明もわかりやすかったです。
【顧客の 6 つのタイプ】
- The Apathetic Buyer
商品がどんなによくても買わない。悲観的。無料でも受け取らない。5$払えば100$もらえるとしても払わない。このタイプの人にあったら、礼儀正しくその場を離れた方がよい。 - The Self-Actualizing Buyer
Apathetic Buyer の反対。自分が欲しい商品、支払う金額を把握していて、そのような商品を見つけたら即座に購入する。ほしいと言っている商品を売ればよい。ほかのものを売ろうとはしないこと。 - The Analytical Buyer
正確性や詳細を気にする。会計士、エンジニア、ITの専門家などに多い。商品やサービスの利点を正確・詳細に説明すればするほど、売れる可能性が高まる。 - The Relater Buyer
その商品やサービスを買ったときに、まわりからどう思われるのかを最も気にする。教師、看護師などに多い。満足しているお客様の声を紹介するとよい。 - The Driver Buyer
ビジネスライクで現実的。多忙で結果志向。起業家、上級役員、営業部長・課長などに多い。商品やサービスの利点を明確に伝えれば伝えるほど、早く購入する。 - The Socializer Buyer
社交的で、人と一緒に働いて結果を出すのが好き。役員、管理職、非営利団体の長などに多い。自分と相手の両方に興味がある。購入の判断をしても、そのこと自体を完全に忘れることがあるので、文書に書いてコピーを渡しておくことが大切。
■ 英語学習の観点での The psychology of selling
この本は比較的、平易な英語で書かれていますので、読みやすいです。
また本全体を通して、同じことが何度も説明されていることも、内容がわかりやすい一因になっています。
一方、ストーリー性はあまりないので、のめりこんで読むような本ではありません。
総合的に判断すると、英語学習に向いている度合いは、中程度です。
営業職、サービス開発、拡販など、ビジネスを伸ばす仕事をされている方には、直接的、間接的に役立つ内容が説明されているので、向いています。
◆ 洋書デビューへの適合度
この本は、セールスのコツが1つ1つ順番に説明されているため、ストーリー性があまり強くありません。
一方、洋書デビューの観点では、全体にストーリー性があった方が、内容に引き込まれるので向いています。
洋書デビューの観点では、以前紹介した次の2冊の方が向いていますので、記事へのリンクを載せておきます。
■ まとめ
The psychology of selling はセールススキルを体系的に説明した本です。
著者や、著者のセミナーに来た参加者の事例が多く紹介されていて、わかりやすいです。
営業職だけでなく、サービス開発やマーケティング職のかたにも役立つ内容です。
日本語版も存在しますが、絶版になっているようで、2018年10月28日時点で中古品が1万円以上の値段で売られています。
1万円は高いので、英語力を身に着けて英語版を読むことをおすすめします。